大阪地方裁判所 昭和48年(ワ)2989号 判決 1975年3月28日
原告
梶谷時子
外二名
右原告ら訴訟代理人
堀正一
昭和四八年(ワ)第二九八九号事件被告
阪上セメント工業株式会社
右代表者
阪上勇
右訴訟代理人
浜口卯一
外二名
昭和四八年(ワ)第二九八九号事件被告
石丸勝美
昭和四八年(ワ)第二九八九号事件補助参加人
同和火災海上保険株式会社
昭和四九年(ワ)第八七一号事件被告
右代表者
細井
右訴訟代理人
安藤猪平次
外一名
主文
被告阪上セメント工業株式会社、被告石丸勝美は各自、原告らに対してそれぞれ金五、六四八、二二四円宛および各内金四、九八一、五五八円に対する昭和四八年七月二四日から支払済まで年五分の割合による金員を支払え。
被告同和火災海上保険株式会社は、原告らに対し金一〇、〇〇〇、〇〇〇円およびこれに対する昭和五〇年三月二九日から支払済まで年五分の割合による金員を支払え。
原告らの被告同和火災海上保険株式会社に対するその余の請求を棄却する。
訴訟費用は被告らの負担とする。
この判決は原告ら勝訴の部分に限り仮に執行することができる。
事実
第一 当事者の求めた裁判
一、請求の趣旨
被告阪上セメント工業株式会社、被告石丸勝美は各自原告らに対しそれぞれ金五、六四八、二二四円宛、および各内金四、九八一、五五八円宛に対する昭和四八年七月二四日から支払済まで年五分の割合による金員を支払え。
被告同和火災海上保険株式会社は原告らに対し、金一〇、〇〇〇、〇〇〇円、およびこれに対する昭和四八年七月七日から支払済まで年五分の割合による金員を支払え。
訴訟費用は被告らの負担とする。
仮執行宣言
二、請求の趣旨に対する答弁
原告らの請求を棄却する。
訴訟費用は原告らの負担とする。
第二 請求原因
一、事故の発生
1 日時 昭和四七年六月五日午後八時三五分頃
2 場所 兵庫県多紀郡丹南町大山上五〇三番地先道路上
3 加害車 普通乗用自動車(神戸五五む三六三号)
右運転者 被告石丸
4 被害者 梶谷吉徳(以下亡吉徳という)
5 態様 亡吉徳が同乗していた加害車が浮島信一運転の普通貨物自動車(以下浮島車という)に正面衝突した。
二、責任原因
1 運行供用者責任(自賠法三条)
被告阪上セメント株式会社(以下被告阪上セメントという)は、加害車を所有し、自己のために運行の用に供していた。
2 一般不法行為責任(民法七〇九条)
被告石丸は前記道路を時速約六〇キロメートルで南進中、同方向に進行していた大型貨物自動車の右側を追い越そうとした際、常に法令に定められた制限速度(毎時六〇キロメートル)を遵守するはもちろん、ハンドル、ブレーキを確実に操作すべき注意義務があるのにこれを怠り、時速約七〇キロメートルに加速して道路右側に進出し、さらに対向車のライトに眩惑されたことに狼狽してハンドル、ブレーキを確実に操作しなかつた過失により、加害車を左右に蛇行させて反対方向から進行してきた浮島車に衝突させ、本件事故を発生させた。
三、損害
1 受傷、死亡
亡吉徳は本件事故により脳挫傷の傷害を受け、同月一〇日午後四時二五分ころ死亡した。
2 死亡による逸失利益
亡吉徳は事故当時三四才で、各種セメント工事を営業内容とする被告阪上セメントの下請人である被告石丸方に勤務し、年間一、三〇八、二八六円の収入を得ていたものであるところ、同人の就労可能年数は死亡時から二九年、生活費は収入の三〇%と考えられるから、同人の死亡による逸失利益を年別のホフマン式により年五分の割合による中間利息を控除して算定すると、一六、一四四、六七三円となる。
3 相続
原告梶谷時子(以下原告の姓は省略して呼称する)は亡吉徳の妻、原告光正、原告昌彦はいずれも同人の子であるところ、同人の死亡により前記同人の死亡による逸失利益をそれぞれ三分の一宛相続した。
4 葬儀費用
三〇〇、〇〇〇円(原告ら各自平等負担)
5 慰藉料
原告ら各自一、五〇〇、〇〇〇円宛
6 弁護士費用
二、〇〇〇、〇〇〇円(原告ら各自平等負担)
四、損害の填補
原告らは次のとおり支払を受けた。
1 自賠責保険金五、〇〇〇、〇〇〇円
2 同乗者保険金一、〇〇〇、〇〇〇円
よつて、被告阪上セメント、被告石丸は原告らに対し、請求の趣旨第一項記載のとおりの金員を支払う義務がある。
五、被告同和火災海上保険株式会社(以下被告同和火災という)に対する代位請求
1 保険契約の締結
被告同和火災は、昭和四七年五月三一日、被告阪上セメントとの間で、加害車につき、保険期間右同日から一年間、保険金額一〇、〇〇〇、〇〇〇円とする対人賠償責任保険契約(以下本件保険契約という)を締結した。
2 原告らの被告阪上セメントに対する代位
前記のとおり、原告らは被告阪上セメントに対して請求の趣旨第一項記載のとおりの損害賠償請求権を有するところ、同被告には弁済の資力がないので原告は右損害賠償請求権を保全するため同被告に代位して、同被告が本件保険契約に基づき被告同和火災に対して有する一〇、〇〇〇、〇〇〇円の保険金請求権を行使する。
六、本訴請求
よつて請求の趣旨記載のとおりの判決(遅延損害金は民法所定の年五分の割合による。ただし、被告阪上セメント、被告石丸に対しては弁護士費用に対する遅延損害金は請求しない)を求める。
第三 請求原因に対する被告らの答弁
一、被告阪上セメント
一は不知。
二は争う。
三のうち被告阪上セメントが各種セメント工事を営業内容とする会社であり、被告石丸が被告阪上セメントの下請工事をしていたこと、および原告らの身分関係の事実は認めるが、その余は不知。
二、被告石丸
一は認める。
二の2は認める。
三は不知。
三、被告同和火災
一は認める。
二は認める。
三のうち、亡吉徳が本件事故によつて死亡した事実および原告らの身分関係に関する事実は認めるが、その余は不知。
五の1は認める。
五の二は争う。
第四 被告同和火災の抗弁(免責)
一、本件保険契約の内容である自動車保険普通保険約款(以下本件保険約款という)には、被告同和火災は、被保険者が、「被保険者の業務に従事中の使用人に対する、その使用人の生命または身体を害したことに起因する賠償責任」を負担することによつて被る損害については、これをてん補する責任に任じない旨の規定(以下本件免責条項という)がある。
二、被告石丸、亡吉徳、中島勇の三名は、スレート工であり、昭和四六年一一月六日から被告阪上セメントに勤務し、主として出来高払いにより給与を受けていた。右被告石丸らは、その仕事の性質上、被告阪上セメントの指示によつて各工事現場に出向いて工事をするため、右被告石丸らの通勤および道具類運搬用の専用車として被告阪上セメント所有の加害車を使用していた。本件事故当日も右被告石丸らは加害車に乗つて被告阪上セメントの作業現場におもむき、作業を終えて道具類を車に積み、被告石丸が運転し、他の二名を同乗させての帰途、本件事故が発生したものである。
右の事実からすれば、被告石丸、亡吉徳は、独立の企業主体ではなく、被告阪上セメントに「使用されている者」すなわち本件免責条項における「使用人」に該当し、また、被告石丸、亡吉徳が被告阪上セメントの業務に従事中本件事故が発生したものであるから、被告同和火災は右免責条項により本件損害をてん補する義務を負わない。
さらに、本件免責条項は、労働者が業務上負傷したり死亡したときはその使用者は労働基準法によつてその補償が義務づけられ、国営の労働者災害補償制度や民営の労働者災害使用者賠償責任保険が存在することから、自動車保険とこの種の労災関係保険との相互の適用境界を明確にするために定められたものであつて、両者の重複適用を回避するための技術的な規定である。従つて、労災関係保険が適用される事案については本件免責条項が適用されるものと解すべきである。そして、被告石丸、亡吉徳は被告阪上セメントの労働者であり、同被告の業務遂行中に本件交通事故が発生したものであるから、本件は労災関係保険が適用される事案である。よつて、この見地からも本件については右免責条項が適用されるべきである。
第五 抗弁に対する原告らの答弁
本件保険約款に被告同和火災主張の免責条項があることは認める。
しかしながら、右条項にいう使用人とは、被保険者と雇用関係のある者に限定的に解釈されるべきところ、被告石丸および亡吉徳は、被告阪上セメントの従業員名簿に記載されておらず、同被告の健康保険、労災保険にも加入していないのであつて、被告阪上セメントとの間に雇用関係はなく、被告石丸は、被告阪上セメントの工事下請人、亡吉徳は同人の使用人であるから、本件においては右条項の適用はない。
理由
第一事故の発生
<証拠>によれば請求原因一(事故の発生)の事実が認められる(但し、右事実は原告らと被告石丸および被告同和火災との間では争いがない)。
第二責任原因
一、運行供用者責任
<証拠>と、後記第六の三認定の事実によれば、被告阪上セメントは加害車を所有し、本件事故当時加害車を被告石丸に無償で使用させてその運行を支配し、もつて加害車を自己のために運行の用に供していた事実が認められる(但し、被告阪上セメントが加害車の運行供用者である事実は、原告らと被告同和火災との間では争いがない)。よつて、被告阪上セメントは自賠法三条に基づき本件事故による原告らの損害を賠償する責任がある。
二、一般不法行為責任
請求原因二2(被告石丸の一般不法行為責任)の事実は、原告と被告石丸との間で争いがない。よつて、被告石丸は民法七〇九条に基づき本件事故による原告らの損害を賠償する責任がある。
第三損害
一、受傷、死亡
前記甲第一三号証によれば請求原因三1(亡吉徳の受傷、死亡)の事実が認められる。
二、死亡による逸失利益
<証拠>によれば、亡吉徳は事故当時三四才で、後記第六認定のとおりスレート工として稼動し、年間少なくとも原告主張の一、三〇八、二八六円を下らない収入を得ていたことが認められるところ、同人の就労可能年数は死亡時から三三年、生活費は収入の三〇%と考えられるから、同人の死亡による逸失利益を年別のホフマン式により年五分の割合による中間利息を控除して算定すると、一七、五六七、七九五円となる。
算式1,308,286×0.7×19.183=17,567,795
三、相続
<証拠>によれば請求原因三3(相続)の事実が認められる(但し右事実は原告らと被告阪上セメントおよび被告同和火災との間では争いがない)。
四、葬儀費用
弁論の全趣旨および経験則によれば請求原因三4(葬儀費用)の事実が認められる。
五、慰藉料
本件事故の態様、亡吉徳および原告らの年令、親族関係その他諸般の事情を考えあわせると、原告らの慰藉料額は各自一、五〇〇、〇〇〇円宛とするのが相当であると認められる。
第四、損害の填補
請求原因四の事実は、原告らの自認するところである。
よつて原告ら各自の前記損害額から原告ら各自の右填補分二、〇〇〇、〇〇〇円宛を差引くと、残損害額は原告ら各自五、四五五、九三一円宛となる。
第五弁護士費用
本件事案の内容、審理経過、認容額等に照すと、原告らが被告阪上セメント、被告石丸に対して本件事故による損害として賠償を求め得る弁護士費用の額は原告ら各自二五〇、〇〇〇円宛とするのが相当であると認められる。
第六原告らの被告同和火災に対する代位請求
一、保険契約の締結
請求原因五1(保険契約の締結)の事実は当事者間に争いがない。
二、原告らの被告阪上セメントに対する代位
被告阪上セメントは前記のとおり原告らに対して合計一〇、〇〇〇、〇〇〇円を下らない損害賠償債務を負つているところ、被告阪上セメント代表者本人尋問の結果によれば、被告阪上セメントは右損害賠償債務を履行する資力に欠けていることが認められる。そうすると原告らは、後記被告の免責の抗弁が認められない限り、保険金請求権の代位行使による保険金請求訴訟が、加害者に対する損害賠償訴訟と同一訴訟手続内において併合審理されている本件においては、右損害賠償請求権保全のため民法四二三条に基づき、被告阪上セメントに代位して被告同和火災に対して前記保険金一〇、〇〇〇、〇〇〇円の支払を請求することができるものというべきである。
三、免責の抗弁の成否
1 本件保険約款に本件免責条項が存在することは当事者間に争いがない。
2 <証拠>によれば、左の事実が認められる。
(一) 被告阪上セメントは石綿スレートの販売、施工を業とする会社であること
(二) 被告石丸は、昭和三四、五年ころから大阪でスレート職人としてスレート工事請負業者の下で働いていたが、その後勤務先の同僚である中島勇、実妹の夫亡吉徳とともに独立し、梅田工業株式会社でスレート工事下請職人として稼動し、さらに同年一一月ころ、同人らとともに被告阪上セメントに移り、本件事故当時まで稼動していたこと、
(三) 右被告石丸ら三名は、被告阪上セメントにおいては、被告石丸を代表者とする「石丸組」の名称で一団となつて行動し、被告阪上セメントが他から請負つた工事につき、工事の日時、場所、施工方法等について同被告の係員の指示に従い、同被告から工事材料の提供を受けてスレート工事に従事し、同被告から加害車および他の同被告所有の自動車を右の業務に使用することを許されていたこと
(四) 右被告石丸らの被告阪上セメントにおける稼動の形態は、被告石丸が三名の代表者として、被告阪上セメントから各工事毎に定められた工事単価で個々の工事の施工を請負い、出来高に応じて工事代金の支払を受けていたこと、なおその他に、日当制によるいわゆる「常傭仕事」として稼動する場合もごく稀にはあつたけれども、殆んどの場合は稼動時間に関係なく出来高によつて報酬が支払われるいわゆる「請負い仕事」が大部分であつたこと、
(五) このほか、被告石丸ら三名は、被告阪上セメントの仕事が暇な場合に他のスレート工事施工業者のスレート工事を請負うことが一か月平均数日程度あつたこと、
(六) 被告石丸ら三名が被告阪上セメントから受領する金銭は、前記請負仕事の請負代金および前記常傭仕事の日当がすべてであつて、固定給、賞与、通勤手当、家族手当等の支給は一切なかつたこと、右の被告阪上セメントからの支払金は、被告石丸が三名の代表者として石丸組の名で一括して支払を受け、同人において右支払金から経費として一日あたり一〇〇円ないし二〇〇円程度の金額を先ず取得し、これを差引いた残額を三名で適宜分配していたこと、
(七) 本件事故当時、被告阪上セメントには正規の従業員が一二名おり、定額の給与を受け、健康保険、労災保険等の社会保険に加入していたが、被告石丸ら三名はこれらの保険に加入しておらず、また、出勤、退社時間も定められていなかつたこと
以上の事実が認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。
ところで、自動車対人賠償責任保険制度は、今日においては、自動車事故によつて生ずる被保険者の財産上の損害を填補するという保険契約本来の目的を果すのみにとどまらず、保険契約の第三者である自動車事故の被害者の損害を結果的に填補し、被害者を救済するという社会的機能をも営んでいるものであるから、本件免責条項のような免責約款の解釈にあたつては、その約款の設けられた趣旨および右の保険制度の営んでいる社会的機能に照らし、その文言をみだりに拡張して解釈すべきではなく、むしろその文理に従い限定して厳格に解釈すべきであることはいうまでもない。
そして、本件免責条項が設けられた趣旨は、使用者と使用人との間には通常の対第三者との関係以上の密接な身分的、経済的関係が存在することから、事故による損害賠償についても使用者、使用人間の雇用関係の枠内でこれを処理すべきものとし、同時に使用者の使用人に対する損害賠償を、労使関係における損害賠償を目的とする制度である労働者災害補償制度や労働災害使用者賠償責任保険等の他の制度に委ね、あわせて、使用者と使用人の慣れ合いによる不当請求(モラル・リスク)を防止することにあるものと解される。
そこで、以上のような自動車対人賠償責任保険制度の目的、社会的機能および本件免責条項が設けられた趣旨をあわせ考えると、本件免責条項にいう使用人とは、その文言が示すとおり、被保険者と直接雇用関係のある者のみを指称するものと解すべきであつて、被険保者の業務にほとんど専属的に従事し、業務執行上は実質的に被保険者の指揮監督に服する者であつても、本来の従業員とは異別の身分的、経済的待遇が与えられている場合には、被保険者と雇用関係が存在するものとは認められないから、右免責条項の使用人には該当しないものというべきである。
これを本件についてみるに、前認定の事実によれば、被告石丸ら三名は、ほとんど専属的に被保険者である被告阪上セメントの業務に従事し、業務執行上被告阪上セメントの指揮監督に服していた者であるけれども、経済的には独自の企業集団としての独立性を有し、法律上は、被告石丸を代表者として被告阪上セメントとの間に請負契約を締結し、右契約に基いて請負人として稼動していたものであつて、被告阪上セメントとの間に雇傭契約を締結した事実はなく、従つて被告阪上セメントの本来の従業員とは異別の経済上・身分上の待遇を与えられていたものであるから、被告阪上セメントとの間には雇用関係が存在しなかつたものといわねばならない。
よつて、被告石丸や亡吉徳が被告阪上セメントの使用人に該当するとはいうことができないから、本件免責条項は適用がないというべきである。
また、被告同和火災は、本件免責条項は自動車保険と労災関係保険との適用境界を明確にし、両者の重複適用を回避すための技術的な規定であつて、本件は労災関係保険が適用される事案であるから、本件免責条項の適用により免責とすべきであると主張する。
そこで判断するに、なるほど本件免責条項が設けられた趣旨の一つが、自動車保険と労災関係保険との重複を避けることにあることは一応首肯しうるけれども、その意とするところは、前示のとおり、使用者の使用人に対する損害賠償はなるべく雇用関係の枠内で処理すべきものとし、これを一般的に労災関係保険等の他の制度に委ねようとしたものであつて、右の両制度がその本来の性質上、必ずしも全面的に排他的・択一的関係にあるものとは解せられないから、本件が労災関係保険の適用されるべき事案であるかどうかはしばらく措き、当該の具体的事故について労災関係保険の適用があるからといつて、当然に本件免責条項が適用されるという必然性はない。従つて、被告同和火災の前記主張は採用することができない。
よつて、被告同和火災の免責の抗弁は理由がない。
第七結論
以上のとおりであるから、被告阪上セメント、被告石丸は各自、原告らに対し前記各損害残額(第六掲記の弁護士費用を含む)の各内金五、六四八、二二四円宛およびこれの各内金四、九八一、五五八円に対する本件事故の日の後である昭和四八年七月二四日から支払済まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を支払う義務があり、原告らの右被告らに対する請求はすべて正当であるからこれを認容し、被告同和火災は原告らに対し金一〇、〇〇〇、〇〇〇円および本判決言渡の日の翌日である昭和五〇年三月二九日から支払済まで少くとも民法所定の年五分の割合による遅延損害金を支払う義務があり、原告らの同被告に対する請求は右の限度で正当であるからこれを認容し、原告らの同被告に対するその余の請求は理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条、九二条、九三条、仮執行宣言につき同法一九六条を適用して主文のとおり判決する。
(奥村正策 二井矢敏朗 柳田幸三)